ビデオ02LM
わたしにとって、聴覚障害者にとってビデオとは…
 プロフィールにも書いてあるように、わたしは聴覚障害者で、いろんな場で聴覚障害者に関わっています。その中では手話が普通に使われます。ここでは手話について細かく述べませんが、手話の大きな特徴として文字で記録できないということがあります。どんな言語でもそれを書いて残せますよね。手話はそのあたりまえのことができないのです。よって、手話が使われ始めたころ(明治)からビデオカメラが普及するまでの間、手話でどんな話がされたのかということを知ることができません。ほとんど残っていないのです。
 ここまで書いたらわかっていただけたと思いますが、手話を記録する方法はビデオに撮ることです。また、記録だけでなく、映像を見ることによってイメージを豊かにすることができます。

一度は投げ出したビデオ編集
 ですから、私はビデオによっていろんなことを発信したいと思いました。編集もして字幕も入れてみんなが楽しめるものを作りたいと思ったのです。それで、今から20年ほど前にMacを買いました。実は私が初めて買ったのはMacです。そのころのWindowsはいろんなコマンドを入力しなければならない段階だったと思います。NECのPC98なんか懐かしいですね。誰もが今みたいに使える状況では決してなかったのです。まだ、「パソコン通信」という言葉もあった時代です。Macは「パソコンのフェラーリ」と言われていたほど高いものだったんですが、Appleがようやく価格を下げ始めたのです。それでもまだまだ高かったんですが、思い切って購入しました。たしか、Macintosh Centoris650という機種でした。これ、拡張性とかデザインも悪く、Appleの業績を悪くすることにつながった機種なんですが、ビデオ編集するには最低、この機種以上のスペックがないと無理、ということで購入したのです。
 いざ、ビデオ編集!と思ったところで、ビデオのキャプチャーボードとかいろんな周辺機器が必要だと気づいて、あと100万ほどの設備投資が必要とわかった時点で投げ出してしまいました。文書作成にでも使えばよかったのに、ショックと自分に対する怒りで、Canonのワープロ専用機を長く使い続けました。まだ、素人が手を出す時代ではなかったんですね。

■ ビデオ編集ソフト 「ビデオスタジオ」に感激! 

 そういう苦い経験があってから、しばらく(10年以上も)ビデオ編集から遠ざかっていたのですが、2004年にわたしの仕事関係の全国大会があり、「取り組みをどうしてもビデオで発表したい!」という気持ちがわいてきました。「聴覚障害者の話し合いの力を高めるために」というテーマの研究です。「もう一度、挑戦しようか」という気持ちになり、だめもとで「ビデオスタジオ8」というビデオ編集ソフトを買ってみました。パソコンはWinのXP機です。
 「できるかな…」という気持ちでキャプチャしてみたら、パソコン画面に手話で仲間と話し合っている映像が出てきました。うれしくて涙が出そうになりました。
 それ以来、仕事、活動、プライベートでいろんなビデオを200本ほど編集しました。今は、これの延長でパワーポイントに取り込んだり、iPadに入れたりしています。
 まったく独学でやりましたが、ビデオ編集の敷居を低くしてくれた「ビデオスタジオ」に感謝です。ビデオ編集についても、また基本的なことから書いていきたいと思います。